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18941
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松伏の家Ⅰ

設計趣旨
 住まいは個人の生活の場であると共に、家族の絆や子供の躾、自然とのふれあいなど様々な面に深く関わっている。

 戦後の目まぐるしい経済成長の中で、住宅は合理性や機能性を優先した結果、昔から受け継がれてきた物の中で失った物や、忘れてしまった物の中に、大切な物がたくさんあることに気づかされたのと同時に、健康・環境・資源などの諸問題から、木や自然素材の奥深さと美しさを見つめ直してるように感じる。日本の伝統的な住まいを、価値観そして精神性の違いにより区分するのは難しいが、共通する特徴は開放性と自然との結びつきである。

 現代の住宅はそれぞれの部屋が便利で快適な個室の為、家の中心であるべき居間の存在や家族の絆が薄れている。この建物では、単に壁で空間を仕切るのではなく、空間にズレを造る事で、領域をゆるやかに分け仕切りの役割を果たした。建具を開けると居間が庭と一体になり、四季折々の緑や花を見たりしていると、風が床を撫でるように流れていくのを感じ、太陽の動きに合わせ、影を床や壁に映してるのを見て、自然を身近に感じ、生活にくつろぎやゆとりを生み出している。

 当初は不自然に感じた建具や木の自然素材が、雨風に洗われ深みのある穏やかな表情になり、植栽の成長と共に建物が風景に馴染んできたように思う。

(設計 海工作舎+J.K)
物件概要

項目

詳細

建物名 松伏の家Ⅰ
所在地 埼玉県北葛飾郡松伏町
主要用途 専用住宅
家族構成 夫婦+子供
構造・規模 木造在来工法2階建
敷地面積 305.16㎡
建築面積 86.66㎡
延床面積 143.52㎡
1階 76.02㎡
2階 67.50㎡
軒高 6545mm
最高高さ 7130mm
敷地条件 市街化調整区域
道路幅員 南6.02m/西4.00m
駐車台数 2台
図面
1 車庫 2 縁側 3 ポーチ 4 玄関  5 和室 6 書斎 7 居間 8 台所 <br />9 アトリエ 10 主寝室 11 寝室 12 納戸 13 テラス
1 車庫 2 縁側 3 ポーチ 4 玄関  5 和室 6 書斎 7 居間 8 台所 <br />9 アトリエ 10 主寝室 11 寝室 12 納戸 13 テラス
1 車庫 2 縁側 3 ポーチ 4 玄関  5 和室 6 書斎 7 居間 8 台所 <br />9 アトリエ 10 主寝室 11 寝室 12 納戸 13 テラス
1:春 シダレウメの咲く立春。
2:夏 初夏の頃の全景。 四季を彩る植栽が成長し、裏手にある竹林と相俟って風景を形成している。
3:秋 秋の全景。イロハモミジの紅葉が冬の到来を告げる。
4:冬 竣工当時の冬の全景。 敷地の特性を活かし、床レベルが半階ずつスキップし、落ち葉や雪を素直に落とす為、単純な1枚の屋根が架かっている。
5: アプローチ 石畳のアプローチより外観をみる。駐車場の仕上げは砂利洗い出し仕上げ。 門廻りの板塀は、桧板の上に桧の押し縁を等間隔に打ちつけている。 正面の石積み壁の足元には照明が仕組まれ、人を心地よく誘導し植栽や塀を美しく照らす。
6:縁側 木製建具を全開にした居間を縁側から見る。
7:玄関 半地下の玄関。玄関戸はピーラー材で製作し、土間は砂利洗い出し仕上げとしている。 壁、天井は漆喰塗り。床はチークの無垢フローリング。
8:居間 網戸を閉めた状態の居間を見る。廊下と居間は400㎜のレベル差がある。 居間より上にアトリエ、下に玄関へと続く。
9:居間 障子を閉めた状態の居間を見る。網戸と障子の竪組子の見付けは30㎜に統一している。 建具の種類により、居間の雰囲気が一変し、障子越しに穏やかな光が居間を包み込む。
10:居間 居間から縁側を見る。居間と庭が一体になり、自然を身近に感じる様に、建具は天井高さに合わせた木製引き分け戸とした。 壁、天井は漆喰塗り。床はチークの無垢フローリングで床暖房を施している。
11:居間 長さ3300㎜のテーブルは厚さ65㎜の鉄刃木(タガヤサン)の無垢1枚板。 足下は掘り炬燵の様に400㎜掘り下げ、床暖房を施している。
12:台所 台所。居間のテーブルと一直線に並んでいる。 左手はキッチン、右手は洗濯機やゴミ箱を組み込んでいる食器棚。
13:アトリエ 中2階のアトリエより下に居間、上に空を眺められるテラスがある。天井高さは4000㎜。 床レベルが半階ずつスキップする事により、領域を緩やかに分け、仕切りの役割を果たしている。
14:アトリエ アトリエから南面を見る。家族とのコミュニケーションを取りながら、勉強や家事そして趣味などが出来るように、机と本棚が造り付けられている。
15:アトリエ アトリエから2階へ続く階段室を見る。 開口部からの光が、漆喰の壁に表情を与える。
16:階段室 アトリエからの階段を上がり東面を見る。床は板目の美しい、チークの無垢フローリング。 窓は隣地の緑で満たされている。
17:和室 和室より書斎を見る。 袖壁には錆竹の下地窓がある。
18:書斎 書斎北面。床は和室より100㎜上がり、天井高さを2100㎜とする事で重心の低い空間となっている。 読み書きしながら景色も楽しめる様に、開口部の高さを決定し、パノラマの様に窓を設けている。 壁、天井は京壁。床板は、桧、サワラ、ヒバ、タモ、ピーラー、桜と多様な無垢板を30㎜に加工している。
19:書斎 開口部より竹林を見る。
20:浴室 浴室から外を眺める。 浴槽はサワラ。
21:洗面所 2階洗面所 鏡に隣地の緑が映り込んでいる。